Tea Masalaまでの道のり
こっちに来てすぐ、食料品を買いに行くのも、何をするにも夫と一緒だったため、私は特に言葉を発する必要もなかったのです。
なので、一人で買い出しに行くにしても家から一番近い店にしか行けず、ソワソワして、レジでおかしな事があっても言葉が出なかったりしました。
日本にいた頃は自立心を持てていたし、大した給料ではなかったけれど自分の必要なものは自分で稼いだお金で支払えるのが快感というか、大人の一員という感覚が嬉しくもあったのですが、アメリカに来て何もできない赤ん坊に戻ったようで、無力感と、もどかしさがこみ上がってはいたものの、何をするにも勇気がありませんでした。
一週間前、近所のインド食料品店に初めて入り、せっかくなのでチャイのスパイスを買おうと思ったのですが、見つからず、その日はそのまま家に戻りました。その日から一週間は大して外に出るわけでもなく、家でインターネットばかりして、夫が仕事から帰ってからようやく車で外の社会に連れ出してもらえる気がしていました。
しかし、二日前に偶然、同じような状況にいた女性の嘆きをネットの投稿サイトで見つけ、在米歴の長い方々からの温かいコメントを読んでいると、みなさん苦労もされたようですが、とても楽しんで生きているのが伝わり、自分もこのままではいかんな、と。
それから今日までにしたこと:
・問い合わせのため移民局カスタマーサービスセンターへの電話
・図書館での貸し出しカード申請
・DMVで仮免取得
・レストランでの食事で異物が混入していたため、ウェイターへ伝える
・郵便切手購入
・今まで一人で行ったことのない店で買い物
・ドライビングスクールに連絡
・SAFEWAYのクラブカード入手
小さなことのばかりですが、自分にとっては大きな一歩です。当たり前ですが、自分で動けば動くほど、人と話すものなのですね。
ニジヤマーケットでだし昆布をレジに持っていくと若い白人女性から「お出汁とるの？」と聞かれたり、信号待ちでボタンを押すと"WAIT!!"と怒鳴る機械があるのですが、その音声に驚いてぼやいている方と目が合い、お互いに笑顔になったり。また、DMVの職員だけでなく待ち時間に何人かの方々と言葉を交わしました。
一枚の、自分を包んでいた薄い膜がようやく剥げたような気がします。
そして、昨日、一週間前に行ったインド食料品店でチャイスパイスが買えました。
ここまで来るまで長かった。
そして、アメリカ(カリフォルニア)っていいところかも、と思える今日でした。
